Tapioca Music

Tapioca Milk Recordsの筆者が、あなたとわたしの音楽を言葉で彩るブログです。

Underworld ”Two Months Off”(左ききのエレン 22話によせて)

大人の世界から覗いたこっち側

 

今だから正直に告白できるが、私は10代のころ30才の男性と付き合っていた。

東京在住、京大出身のインテリサブカル男子で当時はニートだった。

 

彼はニートだったので時間があり、

たくさんの音楽を知っていて、音楽マニアの一面もあり

たくさんのアーティストを教えてくれた。

 

そのひとつが”Underworld”だった。

当時わたしはPerfumeとかCapsuleが好きだったんだけど、

テクノポップが好きならこういう海外のビッグアーティストも聴いてみなさいと

薦めてくれたのだった。

 

彼はしばしばそういう音楽の薦め方をしてくれて、

私がJ-POPを聴いているとあからさまに良い顔をしない時もあり

時々「いやちょっと鬱陶しいな…好きなもの聴いてんだからほっといてよぉ…」と思ったり、喧嘩になることも多々あったけど、

それでもUnderworldは胸のすくような気持ちになれて、好きだったのだ。

 

www.youtube.com

 

今日の左ききのエレン

 

話は変わるけれど、私がとても大好きな漫画がある。

それは「左ききのエレン」で

cakesというWebマガジンのようなサイトで連載し、

原作が一旦完結した後、作画の方がついて今はジャンププラスというアプリで連載中。

単行本も2巻まで出版されている。

 

時間が経つごとにファンもめちゃくちゃ増えていて

今まさにノッている、「旬」の漫画だ。

 

私はこの漫画に特別な思い入れがある。

人生を変えてくれた漫画といっても差支えないからだ。(長くなるのでこの話はまた今度します) 

 

 

ずいぶん熱狂的なファンだなぁこの人…(私のツイートです。)

どれくらい好きかっていうとファンレターをブログに書いてしまうくらいだ。

(こちらはメインブログの記事)

かっぴーさんへ - 珍奶茶唱片 -Tapioca Milk Records-

 

さて、この作品で描かれる全てのキャラクターがそれぞれ魅力的でいとおしいんだけど、

主人公は2人で、

漫画のタイトルにもなっている「天才アーティスト 山岸エレン」と

彼女の永遠のライバル「広告代理店勤務の凡才 朝倉光一」の人生が交差していく物語だ。

 

(1話をこちらからお楽しみいただけます。)
shonenjumpplus.com

 

  

  

今日更新されたばかりの22話は、大きく分けて二部構成。

天才「エレン」ではなく、凡才「光一」側の物語。

 

(22話はこちらからお楽しみいただけます。)

shonenjumpplus.com

 

導入部分は原作でも触れられていたシーンで、

勤務先の広告代理店の飲み会で自分自身の仕事や成長について

ぼやく光一と、彼の同期ユウコのやりとり。

 

その後は広告代理店の社内へ場面転換。

 

これは原作版では描かれなかったシーンで、彼の上司であり、

すばらしいクリエイターでもあり、会社員としてのプレゼン力、政治力にも長けているスーパークリエイター「神谷雄介」と

その上司である怪物クリエイター、「柳」の会話だ。

 

元、上司とはいえ、独立を決めた神谷は

基本的に殴り込みに行ってますくらいの勢いで柳と対峙している。

 

柳「あーそうか・・・やり残した仕事があったか・・・

  そしてそのやり残した仕事は結局 完遂できてはおらん」

神谷「いやしつけぇな やり残した仕事なんてオレには―――」

 

柳「朝倉光一

 

ここで神谷の表情は一変する。

 

私の記憶が確かなら、神谷雄介は確か原作で、「いつ独立するんだ?もうそろそろ良いだろう?」っていう独立仲間の問いに対し、

「俺にも仁義ってものが」と濁す場面があったと思う。

 

この「仁義」っていうのは、「育ててくれた上司の顔を立てるためのタイミングをぎりぎりまで計っている」ということだと捉えていたんだけど、

実際は朝倉光一の教育、という一面もあったのかもしれない。

後輩を育てることは、会社員としてすごく重要なことだから。そんなこと、神谷は百も承知だったに違いないから。

そして、確かめようもないけれど、俺なら朝倉光一をちゃんと育てられるっていうプライドもあったのかもしれない。

 

朝倉光一は教育しきれなかったけど、

同じ目線、同じ魂を持った仲間と良いものを作ることを選ぶ。

 

それは、自分自身の会社員としての限界に見切りをちゃんとつけ、

クリエイターとして走り続ける孤高さを選んだということなんだと思う。

 

私は22話を読んで、原作のスキマ回収がすごくうれしかった。

あぁ、これでまた物語が一つ充実したーって思って。理解を深められたのがとても嬉しかった。

 

そして読み終わると同時に冒頭でお話させていただいた彼の記憶が

Underworldの音楽とともに一気に流れ込んできた。

 

大人の世界から見たこっち側。

 

左ききのエレンみたいにきれいなストーリーではないけれど、 

あの時音楽を教えてくれた彼は、J-POPやJ-ROCKばかりを聴いていた

私の耳を教育したくて仕方なかったのかもしれない。

 

もう、彼とは一切連絡を取っていないけれど

もし伝えられることがあるとしたら

 

私は私なりのやりかたで、音楽を聴いているよ。

毎日とても楽しいよ。と言いたい。

 

私はUnderworldを聴きながらもう一度左ききのエレン22話を読んだ。

私の中でそれはとても相乗効果があって

物語の疾走感が頭の中で倍になり

不夜城の兵隊編もとても楽しみになった。

 

私はこれからも音楽を聴いて生きていこうと思う。