「いきものがかり」というアーティストがいる。
これまた、私が魅力を言い出さなくていいくらい有名で、ファンが多いアーティストだ。
まちがいなく、2000年代を代表するJ-POPのアーティストと言って差し支えないだろう。
しかし、実を言うと、私は少し前までいきものがかりが苦手だった。
彼らになんの恨みもないし、嫌な思い出があるわけではない。
ただただ、いきものがかりをどうやって聴けばいいのかわからなかった。
Ikimonogakari Blue Bird 「ブルーバード いきものがかり」
一方、私の父はいきものがかりの数年来のファンであり、
ドライブ中にかけるCDはいきものがかりのアルバム、
テレビにいきものがかりが出演すると「いきものがかりちゃんだ~♪」とはしゃいでいるのだった。
そんな父の熱量に耐えられなくなって、ある日ドライブ中にこんなお願いをした。
私「お父さん、悪いんだけど、”いきものがかりちゃん”をドライブ中にかけるのをやめてほしい。」
父「どうして?」
私「お父さんの好きなものを否定するわけじゃない。
でも、聴き方がわからないんだ。
音楽ファンにとって、聴き方がわからないものが、逃げ場のないドライブ中延々と流れているのは、すごくツライことなんだよ。
本当にごめん。でもわかってほしい。」
しばらく無言の時間が流れた。
その後、父が放った衝撃的な一言を、今でも覚えている。
「いきものがかりの良さはね、サウンドなんだよ。」
え?^-^
「僕は、いきものがかりの歌詞を聴いていない。
むしろ、すべてラーララ ラーララで良い。」
ん?^-^
私は、自分が音楽リスナーとして未熟であることを反省し
父の言葉を胸に、いきものがかりのサウンドにもう一度ちゃんと耳を澄ませた。
そこには、中学校まで私の耳を育ててくれた、「J-POP」がすべて詰まっていた。
ボーカルは完璧にチューニングされた楽器として機能していた。
歌詞は必要ない。すべてラーララ ラーララで良い。
それってどうなんだろうと疑問を持つファンもいると思う。
でも、私は父の聴き方を肯定したい。
私はこれからも音楽を聴いて生きていこうと思う。